[BEHRINGER(ベリンガー)POWERPLAY P16-I/P16-M] 新規機材導入

BEHRINGER(ベリンガー)POWERPLAY P16-I/P16-M
目次

[BEHRINGER(ベリンガー)POWERPLAY P16-I/P16-M] 新規機材導入

RED IGUANA STUDIOで新規導入を行った機材のご紹介を致します。 導入を行って欲しい機材リクエストなどございましたらお気軽にお問い合わせください。

BEHRINGER(ベリンガー)POWERPLAY P16-I/P16-M

項目内容
機材カテゴリースタジオキューシステム
導入日2019-5-7
メーカー名BEHRINGER ( ベリンガー )
製品名POWERPLAY P16-I/POWERPLAY P16-M
個数P16-I/1台 P16-M/5台
レンタル/貸出可能

※本稿は2019年6月26日に公開された機材導入レポートを、現在のスタジオにおける運用実績と最新の技術的知見に基づき、大幅に加筆・再構成したリライト記事です。

民主化されたスタジオ・テクノロジー ── ウリ・ベリンガーが描いた理想の結実

1989年、ドイツ。一人の若きエンジニアでありピアニストでもあったウリ・ベリンガーが、自身の名を冠したブランドを設立したことから、現代オーディオ界の「革命」は始まりました。

彼の物語は、弱冠16歳にして自作のシンセサイザー「UB-1」を組み上げたという驚異的なエピソードから幕を開けます。プロフェッショナルな音楽制作を志す学生であった彼は、当時の機材があまりに高価であり、野心溢れるアーティストたちにとって、それは文字通り「経済的理由」によって埋もれてしまう現実に強い憤りを感じていました。

「優れたツールを、誰もが手に取れる価格で」。

このシンプルかつ力強い哲学こそが、ベリンガーというブランドを突き動かす原動力となりました。彼は自ら回路設計を行い、生産プロセスの徹底した合理化を追求しました。その姿勢は時に業界内で大きな議論を呼びましたが、結果として、かつてはハイエンド・スタジオの特権であった高度な音響処理技術を、世界中のホームスタジオや小規模なクリエイティブ現場へと解放したのです。

演奏者の生命線 ── 「キューボックス」が司るレコーディングの深淵

レコーディングという繊細な作業において、アーティストのパフォーマンスを決定づけるのは、マイクの前に立った彼らの耳に届く「音」そのものです。ここで登場するのが、一般にはあまり聞き慣れない「キューボックス」という機材です。

「キュー(Cue)」とは、演奏者が自分の演奏や他の楽器の音を聴くためのモニター信号を指します。そして、その信号を個々のアーティストが手元で自由にミックス、調整するための小型ミキサーこそが、この「キューボックス」の正体です。

録音現場において、ボーカリストは自分の声の輪郭を、ドラマーはクリックのタイトさを、ギタリストはバッキングとの距離感を求めます。演奏者が求める理想のモニター・ミックスは、刻一刻と変化し、極めて主観的なものです。この微細な要求に即座に応え、アーティストが「最高の気分で演奏できる環境」を構築すること。それこそがキューボックスの役割であり、RED IGUANA STUDIOがシステムの選定に一切の妥協を許さない理由なのです。

伝説の継承と進化 ── Music Tribeがもたらした技術的ブレイクスルー

ベリンガーの歩みは、単なるコストリーダーシップの追求に留まりませんでした。2010年代に入り、同社はMidas(マイダス)、Klark Teknik(クラークテクニック)、Turbosound(ターボサウンド)といった、プロオーディオ界の「聖域」とも呼べる伝説的ブランドを次々と傘下に収める巨大な連合体「Music Tribe」を形成します。

この歴史的転換点により、ベリンガー製品の血脈には、世界最高峰のコンサートツアーやレコーディング現場で磨き上げられた「一線級のアルゴリズム」と「回路設計のノウハウ」が注入されることとなりました。

POWERPLAY P16システムにおけるULTRANET伝送技術や、直感的な操作感を実現するコンポーネントの選定には、これら伝説的ブランドが培ってきた「現場主義」の知見が色濃く反映されています。安価でありながらプロの要求に応えうる信頼性を獲得した背景には、このような壮大な技術的統合の歴史が存在しているのです。

フィールド・レコーディングの革新 ── 極限の合理性が生む、プロフェッショナルの機動力

RED IGUANA STUDIOのメインブースでは、音質への徹底したこだわりからアナログのキューシステムを運用しています。しかし、ひとたびスタジオを飛び出し、ホールや教会、あるいはライブ会場での「出張レコーディング(ON-LOCATION RECORDING)」という戦場に赴く際、私たちの最大の武器となるのはこのPOWERPLAY P16システムです。

このシステムの最大の利点、それは「シールドされたCAT5(STP)ケーブル一本」ですべてが完結するという事実に集約されます。

16チャンネルもの高解像度デジタルオーディオ信号の伝送、そして各ユニットへの電源供給までもが、たった一本のケーブルで賄われる「ワンケーブル・ソリューション」。アナログシステムであれば、極太のマルチケーブルを引き回し、各奏者の足元に電源タップを確保しなければなりませんが、P16はその常識を過去のものにしました。

仕込み時間が極めてタイトな外録の現場において、この設営スピードの差は決定的な意味を持ちます。最大75mという広大な伝送距離を誇るULTRANETの機動力により、機材の設営に費やす時間を削り、その一分一秒を「マイクの立て込み」や「アーティストとのコミュニケーション」という、音の核となる作業へ充当できること。これこそが、限られた条件の中で最高の結果を求められるプロフェッショナル・ワークにおけるP16の真価なのです。

究極の低レイテンシーと高解像度 ── 0.9msの壁を越えるULTRANETの優位性

デジタル・オーディオにおける最大の敵は「レイテンシー(遅延)」です。特に、自身の声をリアルタイムで聴きながら歌うボーカリストや、コンマ数秒のグルーヴを操るドラマーにとって、わずかな遅延は演奏の生命線を断ち切る致命傷となり得ます。

POWERPLAY P16システムは、この課題に対して「0.9ミリ秒以下(P16-IからP16-M間)」という驚異的な超低レイテンシーを実現しました。24bitのサンプリングレートを維持しながら、人間が知覚できる限界を遥かに下回る精度で信号を届けます。これは、物理的な音の伝搬速度に換算すれば、わずか30cm程度の距離を音が移動する時間に等しく、アナログ機材と遜色のない自然な演奏フィールを提供します。

RED IGUANA STUDIOが誇るビンテージ・マイクやハイエンドなプリアンプを通過した繊細な空気感は、ULTRANETという透明な導管を通り、鮮度を保ったままアーティストの耳へと届けられるのです。

パーソナル・モニタリングの再定義 ── アーティストの感性を直撃する「自由」

レコーディングにおける「モニター」は、演奏の質を左右する最も重要な要素の一つです。しかし、従来のキューシステムでは、エンジニアが各奏者のバランスを調整するか、あるいは限られたパラメーターを共有する形が一般的でした。

P16が現場にもたらしたのは、圧倒的な「自由」でした。

アーティストは、エンジニアの手を煩わせることなく、自身の直感に従って自分だけの最適なミックスを構築できる。各チャンネルに配置された3バンドEQ、そして最終段に用意されたリミッター。これらにより、アーティストは演奏の合間に一瞬で理想のモニター環境を構築することが可能です。

「自分で音を支配している」という感覚が、結果として演奏に対する集中力を極限まで高め、素晴らしいテイクを生む。ベリンガーが数十年をかけて追求してきた「技術の解放」は、RED IGUANA STUDIOの現場においても、アーティストの感情を揺さぶる最高のパフォーマンスを支える礎となっているのです。

特長(メーカーサイト抜粋)

〈POWERPLAY P16-M〉

  • アーティストが手元でパーソナルモニターミックスを調整できる16chデジタルステレオミキサー
  • 極めて直感的なアナログライクな操作性に自由に保存、呼び出し可能な16個のプリセットを用意
  • 24bitDAコンバーターを内蔵した高品位な音響性能
  • モノ/ステレオ構成を表示するデュアルLEDを搭載したチャンネル選択スイッチを押せば、各チャンネルのパラメーターを瞬時に呼び出し可能
  • 全チャンネルでLEDメーター付のレベル、パン、スプレッド調整が可能なほか、3バンドEQ、ソロ/ミュートスイッチを搭載
  • モニター出力のグローバルレベル、EQおよび、突発的なトラブル用のパニックミュートスイッチを搭載
  • ドラムなどの大音量下でも明瞭度の高いモニターを出力するパワフルなヘッドホン出力にヘッドホンと耳を守るリミッター機能を内蔵
  • パワードモニタースピーカーを接続可能なモノ/ステレオ・ライン出力を装備
  • BCF2000、BCR2000などのMIDI機器からのリモートコントロールを実現するMIDIインターフェースを内蔵
  • マスターユニットからの接続はCAT-5eケーブル1本のみで完結
  • 入力モジュールP16-Iからの信号を6台の拡張ユニットP16-Dで分岐することで最大48台のP16-Mを接続したネットワークを構築可能
  • 1mS以下の超低レイテンシー
  • 同梱の電源アダプターもしくはP16-I、P16-Dの電源供給で駆動
  • 別売りのマウントブラケットP16-MBを使えば、一般的なマイクスタンドにマウント可能

〈POWERPLAY P16-I〉

  • 6系統のアナログ入力またはADAT入力を行なう入力モジュール。入力した信号は6系統のULTRANETから伝送するため、最大6台のP16-Mパーソナルミキサーに信号を伝送可能
  • ULTRANET拡張ユニットP16-Dを6系統全てに接続すれば最大48台のP16-Mに伝送が行なえ、オーケストラなどの大規模編成でも個別にモニタリングの操作が可能
  • 16系統のアナログ入力をCAT5eケーブル1本で伝送するULTANETネットワーク
  • 1系統ごとに8chの信号を入力可能な2系統のADAT入力(オプティカル)およびバランス仕様の標準フォーンアナログ入力を装備
  • 24bit、44.1/48kHzのデジタルプロセッシング
  • 1mS以下の超低レイテンシー

※その他機材などは下記の機材リストからご覧頂けます。


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